認知症の家族が
事故を起こしたら
認知症の人が外出中に事故を起こし、他人にけがをさせたり物を壊したりしたとき、家族が賠償を求められることがあります。裁判の例と、備えの仕組みをまとめました。
- 鉄道会社が家族に約720万円を請求した裁判がある
- 最高裁は家族の責任を認めなかったが、事情によっては責任を負う余地を残した
- 個人賠償責任保険と、区や市が保険料を払う制度がある
1. 裁判の例
2007年、認知症の男性(当時91歳)が駅の線路に入り、列車にはねられて亡くなりました。鉄道会社は、遅れなどの損害として約720万円(719万7,740円)を家族に請求しました。
2016年3月1日、最高裁判所は、この事例では妻と長男は賠償の責任を負わないと判断しました。ただし、家族が責任を負うかどうかは、生活の状況や介護への関わり方などを総合して個別に判断するとしています。つまり、家族が必ず責任を免れるわけではありません。
2. 個人賠償責任保険
他人にけがをさせたり、物を壊したりして賠償を求められたときに備える保険です。火災保険や自動車保険、クレジットカードなどに特約としてついていることがあります。
- 家族の誰までが対象か(同居か、別居の親も入るか)
- 認知症の人が起こした事故で、家族が賠償を求められた場合も対象か
- 賠償の上限額はいくらか
- 同じ保障に2つ以上入っていないか
すでに入っている保険の特約を確かめるのが先です。内容の確認は、契約している保険会社・保険代理店に問い合わせてください。
3. 区や市が保険料を払ってくれる制度
認知症の人のために、区や市が保険料を払って、賠償の保険に入れる制度があります。全国で少なくとも60の市区町村が行っています(2020年7月時点の調査)。
当窓口で東京・神奈川・千葉・埼玉の区と市の公式サイトを読んだところ、区や市が保険料を払うとはっきり書かれていたのは、79の区市のうち12か所でした(東京23区では港区・中野区・荒川区・葛飾区の4区)。ほかの区や市は、制度が無いとは限りません。
多くの区や市では、見守りのシールや位置を知らせる機械(GPS)の事業に登録していることが条件です。区・市ごとの条件と窓口の一覧にまとめました。
4. 家の保険も確かめる
親が施設に入って実家に誰も住まなくなると、火災保険の契約の条件に当てはまらなくなることがあります。空き家になったときは、契約している保険会社・保険代理店に連絡して、契約がそのまま有効かを確かめてください。
出典:最高裁判所 平成28年3月1日 第三小法廷判決/各区・市の公式サイト(2026年10月25日確認)/日本総合研究所の調査(2020年7月)
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